
こんにちは、わかみやです。
スタンディングデスクで作業効率が上がったり、健康になったりといったメリットが言われており、日本でも徐々に浸透しつつあります。僕もスタンディングデスクに興味を持って、調べた内容をまとめたサイトを現在作成中です。
今回紹介する論文も立った状態の方が認知力があがるという、スタンディングデスクを支持する内容です。もしかしたら、何十年後かには授業も試験も立って受けるということが普通になってくるかもしれないですね。
David Rosenbaum, Yaniv Mama*, and Daniel Algom
Ariel University
目次
背景:誰でも常にデュアルタスク
誰しも何かをするときは常にデュアルタスク(2つのことを同時進行している状態)になっているものです。何と何を同時進行しているかというと、仕事、勉強のような作業と姿勢を保つことを同時進行しています。
そのため、姿勢を保つというタスクの出来によって、仕事、勉強にもプラスかマイナスの影響があるのではないか、ということが一般的に考えられています。
この考え方に基づいて、これまでに、歩く方向によって認知力が変化するということが調べられました。その延長線上の実験として、今回の論文では、立っている状態と座っている状態を比較して、認知力が変化するかということを調べています。
手順:立った状態と座った状態で認知テスト
実験1
Tel Aviv大学の学部生17人(19-27歳、平均年齢23歳)にStroopテストを受けてもらいました。
Stroopテスト:色の名前が書かれた文字を見て、文字の色を答えるテスト(詳しくはWikipediaをご覧ください)
例:
あか→青と答える(Incongruent:不一致)
あか→赤と答える(Congruent:一致)
このStroopテストを立った状態と座った状態で行って、色を答えるのにかかった時間を比べました。
実験2
Tel Aviv大学の学部生16人(19-26歳、平均年齢24.2歳)に矢印の向きを答えるテストを受けてもらいました。
画面の上部と下部に、上または下を向いた矢印が表示されますが、上部、下部に関わらず、矢印の向きだけを答える。
このテストを立った状態と座った状態で行って、矢印の向きを答えるのにかかった時間を比べました。
実験3
Ariel大学の学部生50人(19-32歳、平均年齢26.1歳)に実験1と同様の実験を行いました。被験者に「立った状態の方が認知力があがる」という仮説を知らせないで実験を行いました。
結果:立った状態の方が認知力が上がった・・・かも!?
結論から言うと、立つ、座るという姿勢と色、向きの一致、不一致の測定順は関係なく、立っているか座っているかで反応速度に差があるという結果になりました。細かいデータは次の表のとおりです。(単位:ms(ミリ秒)、それぞれの条件での被験者の平均値)
座る・不一致 | 座る・一致 | 立つ・不一致 | 立つ・一致 | |
---|---|---|---|---|
実験1 | 892 | 785 | 861 | 785 |
実験2 | 625 | 523 | 603 | 572 |
実験3 | 943 | 803 | 908 | 804 |
著者曰く、実験3で立っているときと座っているときで、色が不一致の場合35ms違うのは、有意な差であるとのこと。つまり、統計学的には立っているときの方が座っているときより反応速度が確実に上がっているということです。
「実験2でも立っている方が反応が71.54ms速い」と本文中では書かれていましたが、どう見ても、実験2ではそんなことはないような・・・。正直、71.54msはどこから求めた数字なのか本文中からはわかりませんでした。(矢印の向きが一致しているときは、むしろ立っているときの方が反応が遅いような。。)
ちょっと疑問が残る部分はありましたが、僕が統計についてあまり知らないからわかっていないだけかもしれないので、統計についてもゆくゆくは勉強していきたいです。
ですので、今回の実験全体として、座っているより、立っている方が反応速度が速いということになりました。
まとめ:立っているときの方が認知力が上がる(一応)
座っているより立っているときのほうが反応速度が速い、つまり立っているときに認知力が高くなるということのようです。
少し疑問が残る部分はありましたが、少なくとも色を答えるStroopテストに関しては、立っているときのほうが反応が速いということです。
一応、スタンディングデスクを支持する実験と言えるではないでしょうか。
本日も読んでいただきありがとうございました。